「ロヒンギャ」の人々とは? 日本国内におけるビルマ(ミャンマー)報道は現在、2010年後半にも軍部が強行しようとしている20年ぶりの総選挙、あるいはタイ国境のビルマ国籍のカレン人難民に対する「第三国定住」が中心となっている。もちろん、長らく閉ざされてきた軍事独裁国家(タンシュエ議長)ビルマは、その他にも民族問題・内戦・麻薬・核疑惑などの問題を抱えている。 いわゆる「ロヒンギャ問題」は、17年を費やしてビルマ全土を回ってきた筆者にも手つかずの取材課題であった。もちろん、この問題はビルマに関わることであるから、少なくともその関係資料には目を通していた。だが、複雑な民族問題を抱えるビルマにあって、このロヒンギャ問題は複雑さを通り越して、理解できない部分が多かった。 まず第一に、ロヒンギャについての呼称・数字・歴史に曖昧な部分が多すぎるのだ。その英語呼称「ロヒンギャ」(Rohingya)は、現地で