フェミニズムやトランスジェンダーへの理解を求める議論は、「そもそも性差など存在しない」という結論に至りがちだ。しかし長谷川氏は、「性差別」は撲滅すべきだが「性差」は存在する、とこの点に異を唱える。 なぜ「性」は存在するのか そもそもなぜ「性」は存在するのか。 〈多くの人は、「繁殖のため」と思われるでしょう。しかし「性」を介在させずに「繁殖」する生物も数多くいます(無性生殖)。この一事をもってしても、「性の本質は繁殖にある」とは言えません〉 〈有性生殖から「繁殖」という要素を差し引くと、オスとメスの「遺伝物質の交換」という要素が残ります。(略)「性」の本質は、この「遺伝子の組み換え」にあると考えられています〉 〈ではなぜ「遺伝子の組み換え」を行なうのか。「子供に多様性をもたせる」ことで、環境の変化、とくにウイルスや細菌などの寄生者に対する防御機能を高めるためです〉 性は「二つ」しかない 「性