こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『反社会学講座』の単行本が出てから、早いもので、かれこれ10年経ったんですね。 私は自著の評判やレビューをなるべくネット検索しないようにしています。やっぱり私も人間ですから、ケチをつけられれば反論したくなるというもの。でもそういうのをちょいちょいやってると、著者がつねに監視してるようで感じ悪いでしょ。読者が遠慮して自由な感想を書かなくなったら不本意ですし。 とはいえ、毎年新年度になると、『反社会学講座』など私の著作を授業や講義の副読本やレポート課題として使ってくださる先生もいるようです。そこでこの機会に、誤解されがちな点について、いくつかいいわけをしておくことにします。 ●私は社会学も社会学者もそんなに嫌いではない。 自分がけなすような書きかたをしておいて、いまさらなにをぬかすか? ごもっとも。 ただ、本当に嫌いなのは抽象的な社会論です。社会とはこう