1991年にビズ・マーキーがギルバート・オサリバンによって告訴されて以来、サンプリングをするヒップホップ・アーティストにとって、サンプリングのクリアランス問題は悩みの種であった。サンプリング使用の承諾が降りず、お蔵入りになった楽曲やアルバムは星の数ほどあり、メジャーレーベルの多くはサンプリングを活用しないプロデューサーをどんどんと起用するようになり、ヒップホップのサウンドが変わっていった。だがチャートを賑わすことのないアンダーグラウンド・アーティストやレーベルの中には、起訴などと自分たちは無縁と考える者も多く、正しく申請せずにサンプリングを続けた。 マッドリブもそのうちのひとりだったのかもしれない。4月10日、カリフォルニア中央地区連邦地方裁判所でボブ・ジェームズはマッドリブとレーベルのStones Throwに対して、著作権の侵害として訴訟を起こした。対象となる楽曲はボブ・ジェームズの「