経済運営をするには、公的セクター全体の需要管理は必須である。ところが、日本では、国と地方の財政収支を案じることはあっても、社会保障までは考えが及ばない。先頃、公表された厚生年金の決算によれば、昨年度は1.4兆円のデフレ要因になっていた。その一方、昨年は、景気浮揚に躍起になっていたわけで、こういう統制の取れない感じが、いかにも日本らしいところである。 ……… 8/9に厚労省が「厚生年金の平成24年度収支決算の概要」を公表した際の日経の反応は、「運用益で大幅な黒字だったが、積立金を取り崩す支払い超過にある」というものだった。確かに、そうではあるが、もう少し視野を広く持ちたい。ポイントは、歳出歳入差が前年度に4.9兆円の赤字だったものが、今年度は3.5兆円の赤字に改善されていることだ。 赤字の幅が1.4兆円縮んでいるのだから、その分、「財政再建」がなされたことを意味する。公的セクターにとっては結