1972年の沖縄返還の費用の肩代わりをめぐって日米両政府が結んでいた密約に対し、元毎日新聞記者の西山太吉さんらが関連文書の開示や損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9月29日、東京高裁であり、青柳馨裁判長は原告勝訴の一審判決を取り消し、請求を棄却しました。国が密約の存在を認めつつ徹底した調査によっても密約文書は見当たらなかったとしていることを拠り所に、保有していない文書は開示しようにもできない、との判断を示したものです。以前のエントリーに書いた通り、わたしは昨年4月の東京地裁判決(杉原則彦裁判長)は「民の権利」を重視した画期的な判決と受け止めていました。高裁判決は、秘密裏に保管されていた密約文書がやはり秘密裏に廃棄された可能性に言及したものの、一審結審後の状況の変化を踏まえ、結論としては原告の逆転敗訴になりました。 この高裁判決について、わたしの住む関西地区でも新聞各紙はいずれも大きく報じま