「ロシアのプーチン大統領は権力の座にとどまってはならない」──。 3月26日のバイデン米大統領によるこの発言が大きな波紋を広げ、バイデンの側近や西側諸国、そしてバイデン本人も釈明に追われる事態になっている。誰もが米ロの対立激化を望んではいないからだ。 バイデンが衝撃的な発言をしたのは、ポーランドの首都ワルシャワにおける演説でだ。これにより、何人もの専門家がバイデンとしては就任以来最も素晴らしい内容とみなした演説の骨子は注目されなくなり、ロシアに対する同盟国の結束に成功するはずだった同氏のワルシャワ訪問も、逆に同盟国を不安に陥れる結果になった。 何よりも、冷戦期の敵だったロシアに米国がこの先対応するための長期的な戦略がどうなっているのかを巡り、さまざまな疑問が浮かび上がっている。 ホワイトハウス高官の1人はロイターに、「権力の座」のくだりはバイデンの演説草稿にはなかったと明かした。ではバイデ