磯光雄監督が『電脳コイル』(2007年)から15年ぶりに送り出した新作アニメ『地球外少年少女』(2022年)は、劇場での上映やNetflixでの配信を通して、これまでのファンを楽しませ新しいファンを喜ばせている。アニメーターとして作り込んだ確かな線や動きがあり、ディレクターとして盛り込んだ豊かな想像力がある上に、撮影から音響から隅々まで手をかけた作品は、“磯印”としか呼べないものとなっている。磯光雄は誰からも求められながら、自らも求めていく求道者のようなクリエイターだ。 「『ジョバンニの島』(2014年)で原画を1カットやったのが出会った最初だったかな」。4回に渡って新宿ピカデリーで繰り広げられた、磯光雄監督と『地球外少年少女』を制作したプロダクション・プラスエイチの本多史典プロデューサーとのトークイベントで、2人の出会いを尋ねられてそう答えた磯監督。「ロシア兵が歌を唄いながら乾杯する16