オバマ政権も早く「負の遺産」を清算したいだろう。「大量破壊兵器の脅威」を大義として侵攻しながら、イラクで同種の兵器を発見できなかったブッシュ政権。イラク戦争前、パウエル国務長官(当時)が国連安保理で説明したイラクの「移動式生物兵器製造施設」も、イラク人協力者のでっち上げと判明した。 いかにブッシュ政権がフセイン政権を倒した意義を強調しようと、お粗末な「証拠」と論理で他国を攻撃し、罪のない多くの人々の命を奪った事実を消すことはできない。 「民主化」について主に米欧が反省すべき問題もある。ブッシュ政権は「大量破壊兵器」とともに「中東民主化」を戦争の大きな理由とした。民主化といえば聞こえはいいが、意に沿わない国の体制打倒(レジーム・チェンジ)を含みとした「民主化」では、イスラム世界が「価値観の強要」と警戒しても無理はない。 フセイン独裁が続いていたら、国連不正の陰で民衆の悲惨は続いた。露仏もその