ケネス・ロゴフが、技術進歩で熟練労働者と非熟練労働者の格差が拡大するという通説に異を唱え、そうした技術進歩によっていずれは熟練労働者の技術もコモディティ化し、むしろ格差の縮小をもたらす、という見解をProject Syndicateで示している(Economist's View経由)。 その中で、得意のチェスに関して面白いエピソードを紹介している。 18世紀末から19世紀初頭に掛けて、チェスをプレーする「ザ・ターク(トルコ人)」なる自動機械が各国の首都を巡業して回り、ナポレオンやベンジャミン・フランクリンといった著名人を打ち負かしたという。多くの錚々たる人々がその謎を解き明かそうとしたが、実はもっともらしい装置の一画には人間のプレイヤーが隠れている、というからくりに気付くまで10年掛かったとのこと。 一方、今日では、騙しの仕掛けはあべこべになっている。過去10年間にデスクトップのチェスのプ