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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (78)

  • ウォルツァー『政治的に考える』:理念と現実のせめぎあい - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    政治的に考える―マイケル・ウォルツァー論集 作者: マイケルウォルツァー,デイヴィッドミラー,Michael Walzer,萩原能久,齋藤純一出版社/メーカー: 風行社発売日: 2012/04メディア: 単行購入: 3人 クリック: 400回この商品を含むブログ (5件) を見る いま、現実の政治に希望を抱くのはむずかしい。目先の出来事におたつき、世間の顔色をうかがうばかりの人々が、己の地位と利権だけにしがみついて、その場限りの言い逃れを連発。一方でそれを批判する識者たちも、時に形骸化したスローガンの連呼や現実から乖離した抽象論に堕す。だがそもそもこの現実世界の政治とは何をするものなのか? それを考え続けてきた政治哲学者マイケル・ウォルツァーの論文をまとめたのが書だ。邦訳も多いとはいえ(いやそれ故に)多岐にわたる彼の議論を包括的に見渡すのはなかなか面倒だ。書はそれを可能にしつつ、現実

    ウォルツァー『政治的に考える』:理念と現実のせめぎあい - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ガードナー『専門家の予想はサルにも劣る』:よい本。特にエーリックの醜態は見物。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    専門家の予測はサルにも劣る 作者: ダン・ガードナー,川添節子出版社/メーカー: 飛鳥新社発売日: 2012/05/23メディア: 単行購入: 5人 クリック: 210回この商品を含むブログ (5件) を見る 専門家の予想というのはなかなか当たらん、それどころか専門家はみんなすでにわかっていることをもとに一定方向へのバイアスがかかるから、予想外の原因が出てきた瞬間に一斉にはずれる、という。だもんで、サルのダーツ投げより当たる確率は低かったりする。ついでにカオス理論や複雑系で、計算できない部分もあるのにできるような顔をするから…… というわけで、議論としては違和感はない。おっしゃる通りで、たまに予測とかやったりする身としては忸怩たるもんがある。ただ、予想はふつうに当たってるときには、「そんなの当然」といわれて注目されず、予想外の方向にものが動いてはずれたときにだけ注目されるという悲しい運命

    ガードナー『専門家の予想はサルにも劣る』:よい本。特にエーリックの醜態は見物。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/06/11
    ポール・エーリックにかぎらずそういう人はたくさんいるよね……
  • コリアー『収奪の星』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    収奪の星―― 天然資源と貧困削減の経済学 作者: ポール・コリアー,村井章子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/03/20メディア: 単行購入: 4人 クリック: 149回この商品を含むブログ (8件) を見る 資源は途上国にとって諸刃の剣だ。収入は増えるが、利権と汚職の温床になったり、資源収入への過度の依存で国民の勤労意欲まで消えたり。この「天然資源の呪い」を指摘した一人が、書の著者コリアーだ。 でも、あらゆる国は何らかの天然資源を持つ。それをきちんと活用して、天然資源の呪いから脱するには? それが書のテーマだ。 その指摘は単純ながら重い。まず、天然資源の呪いは行政能力の問題だということだ。自国の中で政治家の汚職を監視し、国富を国民に還元する仕組みが弱いので、資源の利益が外国や汚職政治家に吸い上げられたり、無駄な投資が起きたりする。 さらに著者は、その背後にある思想の

    コリアー『収奪の星』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 横山『妖怪手品の時代』:手品でいろいろ妖怪を出す芸の系譜。楽しくてよい本です。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    妖怪手品の時代 作者: 横山泰子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/04メディア: 単行購入: 5人 クリック: 85回この商品を含むブログを見る 江戸時代には、くだらないのから手の込んだ物まで、妖怪をいろいろ出して見せるようなお座敷芸や手品がたくさんあった。単にお猪口をかぶるだけの、瞬間芸みたいなものから、幻灯や煙やらを使った格的なもの、あるいはお座敷を離れて田んぼで河童に化けてみたりとか、多種多様なものがあった、という話。 そしてそれはその後、歌舞伎でも使われ、明治後も演劇に使われたり、手品ショーに使われたり、さらには映画になって、江戸川乱歩の怪人二十面相も、そのトリックや演出の多くはこの妖怪手品の系譜に連なるものだという話。 芸のあまりのくだらなさにあきれたり、手の込んだトリックに驚いたり、読んでいて「へえ〜」と思うことしきり。江戸川乱歩は、後から考えると無理にこの系譜

    横山『妖怪手品の時代』:手品でいろいろ妖怪を出す芸の系譜。楽しくてよい本です。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/05/22
    これは欲しい!
  • 見田&大澤『二千年紀のなんとか』:読む気もないが、いまって三千年紀じゃなかったっけ? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    二千年紀の社会と思想 (atプラス叢書01) 作者:見田宗介,大澤真幸太田出版Amazon 今日、送られてきた。ぼくはどっちの論者もダメダメダメのかんたんふだと思っているので、ページを開く気すらないが、アマゾンによれば 二千年紀の最初の一〇年の経験は、現代の国際関係と科学技術と経済システムだけでなく、これらを通底する社会の原理と思想の前提とを問い返すことをとおして、新しく人間と社会の存在の<見晴らし>を切り開くという、射程の大きい共同の作業の開始をわれわれに要請している。 だそうな。 でも……いまって三千年紀、ですよね? 1-1000年:千年紀 1001-2000年:二千年紀 2001-3000年:三千年紀 十年遅れてるはよく見るが、千年遅れてるはさすがに初めてですよ。さすがに中にはなんか言い訳が書いてあると信じたいところ。が、その程度のなんだろうとも思うのでなおさら読まない。なにが

    見田&大澤『二千年紀のなんとか』:読む気もないが、いまって三千年紀じゃなかったっけ? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/04/14
    ワロタw
  • 斉藤・中川編『人間行動から考える地震リスクのマネジメント』:住宅関連の地震リスク低減施策を行動経済学で実証的に考えたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    人間行動から考える地震リスクのマネジメント: 新しい社会制度を設計する 作者:誠, 齊藤,雅之, 中川勁草書房Amazon 題名を見て、例によって経済偏重の社会を見直せとかエコなナントカとか、その手のインチキじゃねえだろうなあ、とものすごく警戒していたが、至極まとも。 基的な問題意識は、特に住宅の建設・選択においてどうやって地震リスクをもっと考えた行動を人々にしてもらうか、というもの。耐震性の高い住宅を選んでもらうにはどうしたらいいかとか、それが地価に反映されるかとか、保険加入をどう促進するか、とか。で、その中で日住宅ローンの問題も建築士の問題も、中古マンション市場(またはそのあってなきがごとき実態)の問題も、マンション改修投資の問題も挙げている。最後には人的資の影響も見ている(この最後のだけ住宅から離れて他とちょっと焦点がずれるが)。 ここらへんをちゃんと実証的に検討しているの

    斉藤・中川編『人間行動から考える地震リスクのマネジメント』:住宅関連の地震リスク低減施策を行動経済学で実証的に考えたよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 高橋英利『オウムからの帰還』:オウム内部、サティアンの様子などの記述はおもしろいが、まだ神様依存症らしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    文庫 オウムからの帰還 (草思社文庫) 作者:高橋英利草思社Amazon 「修行」の記録やサティアン内部の様子の記述などは非常におもしろい。ただ、ぼくはオウム事件を直接は知らないし、後から読んだ話もかなり忘れているので、松サリン事件とか村井刺殺とか、どういう文脈だったのかかなり忘れている。それらを知っていることを前提にした書き方で、単行のときは問題なかったんだろうけれど、いま読むとちょっとわかりにくい。 オウムに入るにあたり、肉体的な修行があったのが観念や理屈ばかりでないということで魅力だった、という著者の記述は、自分にもそういうのに惹かれる面があったのでギクリとさせられるとかいうのはある。そして、自分がどこかでちょっとちがう角を曲がっていたら、この人と同じ境遇になったかもしれない、という思いもある。が…… この文庫版へのあとがきを読んで、ぼくはこの人が「かろうじて活かされている」とか

    高橋英利『オウムからの帰還』:オウム内部、サティアンの様子などの記述はおもしろいが、まだ神様依存症らしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • コスタ『文明はなぜ崩壊するのか』:そこまで話を落としてしまったら、なんでも言えちゃうではありませんか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    文明はなぜ崩壊するのか 作者: レベッカコスタ,Rebecca Costa,藤井留美出版社/メーカー: 原書房発売日: 2012/03メディア: 単行購入: 1人 クリック: 408回この商品を含むブログ (3件) を見る うーん、うーん、うーん、なんか頭痛がすごく痛いよう。 いろんな文明がなぜ亡びたかというはいっぱいあって、どれも一長一短なうえ、そこから共通点を引き出そうとすると、どれもこれも様々なので何ともいえない。無理にやると、すべて気候変動がいけないのだというフェイガンや、すべて環境破壊がいけないというダイアモンドみたいに、「おまえ、数ある文明の中でなぜわざわざそれを選んだの?」という選択バイアスかかりまくりの偏向図書になってしまう。 でも書は、進化論とか脳科学をもとにそれをドーンと一発解明とのことで、なんとも剛気なおばさんじゃねえか、と期待していた一方で、朝日文化部の人は「

    コスタ『文明はなぜ崩壊するのか』:そこまで話を落としてしまったら、なんでも言えちゃうではありませんか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/03/27
    怖いもの見たさで読みたくなってきたw
  • ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    主義が嫌いな人のための経済学 作者: ジョセフ・ヒース,栗原百代出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2012/02/09メディア: 単行購入: 20人 クリック: 834回この商品を含むブログ (15件) を見る 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこんで、現状維持の保守派が乱暴な議論をしても反論できず、おかげで万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが書だ。 というわけで書は、筋金入り左派哲学者

    ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2012/03/26
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  • 大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 作者: 大田俊寛出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/03メディア: 単行購入: 61人 クリック: 1,271回この商品を含むブログ (25件) を見る 先日、オウム関係者の死刑判決で、遺族は「なぜ」がわからず不満顔だったという報道について、ぼくはなぜなどと問うべきではない、どうせ答えなんか出ないんだから、という話を書いた。が、書はその「なぜ」をまがりなりにも分析して一応の答を出したであり、またオウム事件に対してこれまでまともな対応を見せてこなかった宗教学の学者が、そうした現状を真摯に反省して宗教学的な取り組みからオウムを切ってみせた点でもきわめてえらい。 読んでいて、まさに上で出てきたリアリー『神経政治学』(そしてぼくのあとがき!)が引用されていてびっくりしたんだが、オウムがどんな宗教・思想的な系譜につながるのかを明

    大田俊寛「オウム真理教の精神史」:オウムの「なぜ」を描き出した一冊で、学問としての社会的責務を宗教学者が真摯に考えた立派な本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • パルヴェーズ『イスラームと科学』:イスラムの現状批判とともに、もっと広い科学と宗教や規範の関係を考えさせられる。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    イスラームと科学 作者: パルヴェーズフッドボーイ,植木不等式出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2012/01/31メディア: 単行購入: 9人 クリック: 346回この商品を含むブログ (6件) を見る イスラム圏の科学はひどい状況にある。中世には、停滞するヨーロッパを尻目に世界最先端だった。でも宗教がそこに介入し、物理法則なども神の意志にすぎないとされ、科学を研究するより、神の意志をコーラン解釈から読み取ることが優先された。そしていまや、一部イスラム圏の「科学」と教育の相当部分は、西洋科学をイスラム経典解釈にこじつけてにこじつけて「イスラム的科学」なるものをでっちあげる行為に堕している―― こうした状況を、世界的な物理学者でイスラム教徒である著者は、深く憂慮し、イスラム社会の大きな停滞要因だと指摘する。だが書は、イスラム教という宗教を批判するのではない。宗教と科学や理性の領域と

    パルヴェーズ『イスラームと科学』:イスラムの現状批判とともに、もっと広い科学と宗教や規範の関係を考えさせられる。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』:新しい福祉社会の見取り図を提案する希有な本。ただ監訳者の我田引水解題はないほうがまし。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    平等と効率の福祉革命――新しい女性の役割 作者: イエスタ・エスピン=アンデルセン,大沢真理出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/19メディア: 単行購入: 14人 クリック: 506回この商品を含むブログ (11件) を見る 福祉の議論は公共頼みになりがちだ。医療も高齢者も育児も失業も国がもっと金を出せ――でも、家庭や企業も福祉をかなり提供している。そのバランスを見ないとだめだ、と看破したのが書の著者エスピン=アンデルセンだった。きたる高福祉社会に向けて、彼は女性をもっと働かせろと主張した。福祉サービス職を増やし(企業の事業機会)、女性を働かせ(家計収入増大)、税収を増やせ(公共の負担力増大)! この分析と提言は大きな影響を与えた。そして女性の労働進出は進んだ。でもまだ中途半端な水準だ。一方であらゆる社会では格差の固定化と拡大が進んでいる。なぜだろう? 書はこの問題

    エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』:新しい福祉社会の見取り図を提案する希有な本。ただ監訳者の我田引水解題はないほうがまし。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』:組織内で苦しんだ人なら身につまされる、いろんな意味で絶望の名著。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ベスト&ブライテスト〈上〉栄光と興奮に憑かれて (Nigensha Simultaneous World Issues) 作者:デイヴィッド ハルバースタム二玄社Amazon 読んだふりをしていたをこっそりきちんと読み直すキャンペーンの一環で、ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』を読んだ。大学生の頃に一度ぱらぱら見たんだけど、「ふふん、白人優位主義の無知で偏狭でプライドばかり高い米帝軍国主義の手先どもが、己の愚かさ故と歴史的必然故に自滅する話ね」と思ってあまりまじめに読まなかったし、いろいろこまごました人間の出自だの学歴だの職歴だのがひたすら並んでいて、いささかうんざりしたこともある。そして大学生だと「こいつらが自分の力関係だの地位だのばかり心配せずに、現場の情報をきちんと聞いて、己の信念にしたがって正義の発言をすればベトナム戦争なんか起きなかったんだろ」と気で思っていた。だから、あ

    ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』:組織内で苦しんだ人なら身につまされる、いろんな意味で絶望の名著。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 『清水アリカ全集』:空疎さにこそ本質があったバブル時代のあだ花。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    清水アリカ全集 作者: 清水アリカ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/08/25メディア: 単行購入: 3人 クリック: 164回この商品を含むブログ (2件) を見る いま清水アリカの小説を読むのは、ある意味で幸せな過去の思いでにふけるような体験だ。彼の小説には何のストーリーもない。社会の周縁部に暮らす人々が、エログロな肉体改造と変態性行為とドラッグと犯罪にひたすらふけるだけ。 著者はデビュー作の時点で、それが意図的に薄っぺらな小説にした結果だ、とうそぶいていたという。でもこの全集を読むと、この人はそれ以外には何も書けなかっただけだとわかる。そして一見、現代社会のおきれいな表層、特にバブル期の繁栄に背を向けたように見えるこの小説は、実はどれも、それに強くよりかかっていることもわかる。どの小説でも、世界は確固たるものだ。かれは、華やかに見える表層の裏にある淀みと腐敗を描く

    『清水アリカ全集』:空疎さにこそ本質があったバブル時代のあだ花。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • フランク「アンネの日記」:やはりモノにはそれに適した年齢があると思う。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    アンネの日記 増補新訂版 作者: アンネフランク,深町真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/04/08メディア: 単行購入: 1人 クリック: 48回この商品を含むブログ (34件) を見る 言わずと知れたアンネの日記。こないだアムステルダムに行ったとき、いつも長い行列ができているアンネの家にスッと入れたので見物したついでに、そういえばなぜかアンネの日記って読んでなかったなあ、と思って義務的に。 で、考えて見ればあたりまえだが、収容所に入ってからの話はないんだよね。ユダヤ人への迫害が強まる中でこっそり暮らしつつ、メインはふつうの女の子らしい日常の苦労が延々綴られる話。アンネの年齢から見て、よく書けていると思う。世を忍んで生きねばならないつらさも、確かに感動する部分はある。でもやはりこれは、最後につかまって殺されてしまったという悲しい結末をみんな知っているからこそ読むで、

    フランク「アンネの日記」:やはりモノにはそれに適した年齢があると思う。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2011/12/02
    実物を見たことないけど、そんなに広い隠れ家なのか。
  • 後藤『決着! 恐竜絶滅論争』:ふーん、結局隕石ってことですか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー) 作者: 後藤和久出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/09メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 19人 クリック: 245回この商品を含むブログ (14件) を見る 昔、金子隆一『大絶滅!』を読んで、隕石説は結構劣勢になっているのか、と一時は思っていたんだよね。金子はプリューム説、つまり地殻変動による火山噴火で恐竜が絶滅したという立場で、今後もそうした地殻変動に備えるような地球管理体制を構築せよ、という勇ましいだったので結構おもしろく読んだ。 が、書は隕石説が圧倒的に正しいと主張し、火山説を含む異論について、その問題点を指摘する。隕石説が劣勢に見えたのは、同じ隕石説内でも細かい内輪もめがあって、異論に対する一体的な対応ができなかったから、という。でも実際には、異論のほうがかなりの少数派であって、議論の決着がついていない

    後藤『決着! 恐竜絶滅論争』:ふーん、結局隕石ってことですか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2011/11/28
    隕石説がメジャーだと思っていました(o_ _)/地殻変動説なんてのもあるんだ。
  • 日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    こんな文を観て、経団連についてのグチはわからんでもないながら、その後の提案にがっかり。 製造業の代替産業として、ちきりんが一番可能性があると思っているのは「ホスピタリティ産業」です。 高いサービスレベル、正確なオペレーション、気持ちの良い対応、そういった“おもてなし”系のスキルが中心価値のひとつとなり得るホスピタリティ産業には、様々な分野が含まれます。 旅行業、小売り業、外産業、調理法、輸送・配送業、美容業界、事務手続き業、修理業、クリーニング業・・・、どれもこれも「モノを作っていない産業」です。昭和のおじさんは、日の「モノ作り産業」に競争力があるといいますが、ちきりんから見れば、日はこれらの「モノを作らない産業」も相当すごいです。 しかもこれらの産業の多くは、「ニッチなグループの中での高付加価値」ではなく、規模を追求することに経験と親和性があります。多くの小売り、外産業はチェーン

    日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • サロー他『飢える大陸アフリカ』:アフリカ農業の発展方策をまじめに考えた、ものすごくまともでよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    飢える大陸アフリカ―先進国の余剰がうみだす飢餓という名の人災 作者: ロジャーサロー,スコットキルマン,Roger Thurow,Scott Kilman,岩永勝出版社/メーカー: 悠書館発売日: 2011/10メディア: 単行購入: 9人 クリック: 711回この商品を含むブログ (5件) を見る タイトルを見た瞬間、スーザン・ジョージのようなインチキな善意のつもりで有害な人殺しNGOのプロパガンダかと思ったが、まったくの杞憂。料増産、市場整備、インフラ投資、自国補助金づけをやめ、アフリカの農業を破壊する行き当たりばったりの料援助も廃止。遺伝子組み換え作物も積極的に入れるべき。こうした議論をすべて実際の現地ルポとともに描き出している。基は、ノーマン・ボーローグの緑の革命はすばらしく偉大で、それをアフリカでもっと進めなければならないという。それなのに世界先進国は自国の農業利権を

    サロー他『飢える大陸アフリカ』:アフリカ農業の発展方策をまじめに考えた、ものすごくまともでよい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    walwal
    walwal 2011/11/01
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  • わけもわからず:ナサーの経済学史は、「学」のないただの経済学者評伝である - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Grand Pursuit: The Story of Economic Genius 作者:Nasar, Sylvia発売日: 2011/09/13メディア: ハードカバー Working in the Dark (The New Republic, 2011.09.30) ロバート・ソローによるシルヴィア・ナサー「The Grand Pursuit (大いなる探求)」書評、翻訳 山形浩生 書を読み始めたときには、これが何についてのなのかわかっているつもりだったけれど、読み終わる頃にはなんだか自信がなくなってきた。プロローグは、チャールズ・ディケンズによるロンドンの悲惨な貧困についての観察や描写から始まる。そしてそれが自然に、当時の政治経済学での唯一の説明として古典的なマルサスの罠の話に移る。つまり、全体としての生活水準が少しでも上がればそれは人口増で相殺されるので、禁欲生活を奨励す

    わけもわからず:ナサーの経済学史は、「学」のないただの経済学者評伝である - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ケインズ「一般理論」山形浩生訳 全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    全訳完成。9/1に始めて、途中一週間休みがはいったけど、20日でゼロから仕上げた計算。もうちょっと集中できたら二週間くらいでできたかな。ぼくは翻訳は一発通しで、読み直すことさえあまりしないから、用語の不統一や誤変換はそこそこあるかと思う。でも大きな誤訳はないはず。各種まちがいに気がついたら教えて。 ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』山形浩生訳(全訳) (pdf 840kb) 訳していて気がついたこと。 ケインズは、ヒックスにも言われているけど、嫌みったらしくてやーなヤツ。 ケインズがわかりにくいのは名文家だからだ、と伊東光晴なんかがしつこく言うが、まったくのウソ。理解できないからありがたい名文にちがいないという変な宗教がかった愚かな信仰は、いい加減捨てていただきたいところ。以下のようないやらしい、関係代名詞に条件節がたくさんぶら下がった文を山ほど書くので、わかりにくいと言われるのはしか

    ケインズ「一般理論」山形浩生訳 全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」