トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書く人 > 記事一覧 > 記事 【書く人】 すべて懸け、人生の勝負 『オール・イン実録・奨励会三段リーグ』将棋・元奨励会員 天野 貴元さん (28) Tweet mixiチェック 2014年4月27日 その鋭い眼光に、将棋ファンなら覚えがあるかもしれない。一昨年まで、プロ棋士の養成機関「新進棋士奨励会」に十五年間所属した天野貴元(よしもと)さん。タイトル戦の棋譜を付ける記録係として、一流棋士たちの名勝負に何度も立ち合った。しかし、自らが将棋界の表舞台に立つことは、ついになかった。 二十六歳の春、プロ入りを目前にしながら、年齢制限という規則の壁に阻まれ、奨励会を去った。青春のすべてを懸けた勝負に、敗れた。「寝る、食べる以外の時間は全部将棋だった。夢を失い、学歴もない、どうしたらいいか分からなかった」 だが、その一年後、もっと大き