Nature 472, 145-146 (2011年4月14日号) | doi:10.1038/472145a 海洋生物にしのび寄る放射能汚染 損傷した福島第一原子力発電所から海への放射性物質の流出が続いている。生態系への影響を見きわめるには、できるだけ早い時期に広い範囲で海洋調査を実施する必要があるだろう。 Quirin Schiermeier 「太平洋は広い」―これは、福島第一原子力発電所から放射性物質が海に流出していることが明らかになって以来、何度も繰り返されている言葉だ。 海に流出した放射性物質が高度に希釈されることについて、異論はない。それでも研究者たちは、福島周辺の海域の生態系が受ける被害を評価するために、できるだけ早い時期に海洋調査を開始する必要があると考えている。今回の放射能汚染が、海洋生物にただちに悪影響を及ぼすとは考えにくい。だが、半減期の長い放射性物質は食物連鎖を通し