はじめに サウジアラビア(以下、サウジ)で約1週間前に始まった王族や閣僚の大量逮捕について、その背景と今後への影響を解説する。 1.大量逮捕までの経緯 まず2017年11月4日土曜日に、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(以降、ムハンマド皇太子)がトップを務める汚職対策委員会が、サルマン国王の勅令によって設置された。そしてその数時間後から摘発が始まり、首都リヤドの5つ星ホテルであるリッツカールトンに逮捕者は連行された。翌11月5日の報道で、王族11人と、4人の現職閣僚を含む元閣僚や副大臣経験者、著名ビジネスマンなど38人以上が汚職の罪で逮捕されたとの情報が流れた。 公式には、政府は逮捕者の名前を発表していないが、現在までに明らかになった情報によると、逮捕者は200人以上に上り、王族では総資産170億ドル以上といわれ「アラビアのウォーレン・バフェット」の異名をとる著名な投資家であるアルワリード