農業ブームと言われて久しいが、それでもまだ十分には理解されていないことがたくさんある。企業参入もその1つ。いわく「企業が参入すれば農業は再生する」。いわく「だが、岩盤規制がそれをかたくなに阻んでいる」。もし本当なら、農政はとんでもない過ちを続けていることになる。いまや企業参入の代表例として語られることの多い、イオンのケースでそれを検証してみよう。 生産者と腹を割って話す イオンがなぜ自ら農業を手がけているのかを知れば、答えは出る。「生産者と腹を割って話せるようになるため」。直営農場を運営するイオンアグリ創造の社長、福永庸明はこう語る。 企業の農業参入で、ふつう何をイメージするだろうか。前近代的で閉鎖的で非効率な農業を革新する。IT(情報技術)や企業会計など、多くの農家にはまだなじみの薄いノウハウを持ち込むことで、新しい生産の仕組みをつくる。農業を取りまく遅れたイメージからすると、企業がやれ