評論家の西部邁氏が、多摩川に入水し、「自裁死」を遂げた。その訃報を美談として報じるメディアがある。だが日本に一時帰国していた欧州在住ジャーナリストの宮下洋一氏は、そうした報道に違和感を覚えたという。6カ国での取材をもとに『安楽死を遂げるまで』(小学館)を上梓した宮下氏が、日本人の「死に方」を巡って問題提起する――。 こうした趣旨の発言をするのは日本人だけ 評論家の西部邁氏が1月21日、多摩川(東京都大田区)に入水し、「自裁死」した。80歳を目前とした西部氏だったが、いまだ舌鋒は衰えず、第一線で言論活動を続けていた。一方、4年前に妻に先立たれ、利き腕の神経痛にも悩まされていたという。 常に自分の信念に基づいて行動してきた同氏の決断だけに、その死に方は尊重したいと思う。ただし、西部氏が生前、こんな言葉を口にしていたという報道をみて、少し立ち止まって、この問題を考えてみようと思った。 「家族に介