2013 年4月 19 日 No.2013-001 「量的・質的緩和」後の2つのシナリオ 調査部 チーフエコノミスト 山田 久 《要 点》 「量的・質的金融緩和」は、事前の市場予想をはるかに上回るものであった。この 政策の結果、2014 年末の日銀保有の長期国債は 190 兆円と、国債残高全体の2割 強を日銀が占めることになる見通しである。この量的・質的緩和は、長期金利・資 産価格・為替相場をまずは動かし、その結果として実体経済・物価に影響を及ぼす という経路を期待したものと理解される。 毎月 7 兆円ペースで国債を買い入れるという行動は、 国債市場における中央銀行の 存在感を急激に膨張させるものであり、 日銀は民間が保有する国債をネットベース で買い上げ、民間保有分が減少していくことを意味する。これにより中長期金利は 全般的に低下し、株式や J-REIT などの国内リスク資産への