3月末で終了した「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」は、銀行など金融機関に対し、資金繰りに苦しむ中小企業の返済猶予に応じるよう求めた時限立法だった。 実はこの法律が、中小企業への融資だけでなく、個人向け住宅ローンの返済猶予も対象としていたことはあまり知られていない。この法律によって景気悪化に伴う賃下げや失業、病気などの理由で返済に窮する債務者に対して、元金返済はひとまず置いておいて、利息分だけを支払えばいいという返済猶予が進んだ。その結果、2009年の施行から昨年9月末までの累計の返済猶予額は約3兆6000億円に上るとされている。 その期限が切れればどうなるかは推して知るべしだろう。ただでさえ返済に苦しんでいた債務者が元の金額を払い続けることなどできないのは必至の情勢だ。 しかも、これは期限が切れた4月以降の話ではない。すでに3月末を待たずに“取り立て”は始まっていた。 首都