二十世紀前半に活躍したドイツの哲学者ハイデガーは「世界劇場」という概念を通じて、現存在=我々の本質と、我々が社会において果たしている役柄は異なっていると考えた。 舞台で演じる役柄のことを心理学ではペルソナという。ペルソナというのはもともと仮面という意味だね。実際の自分とは異なる仮面を身につけて、与えられた役柄を演じる。英語では人格のことを「personality」というが、この言葉はもともとペルソナからきている。 そして、すべての人は世界劇場において役割を演ずるために世界に投げ出されることになる。これをハイデガーは「企投」とよんだ。そして企投された人々が、世界劇場における役柄に埋没していくことを耽落=Verfallen=ヴェルファーレンと名付けた。 そう、一時期一世を風靡した六本木のディスコの名前とよく似ているよね。もしかしたらヴェルファーレの名づけ親はハイデガーを読んでいたのかも知れない