(英エコノミスト誌 2009年12月5日号) ロシア政府は、かつては抑えつけると見られていた実業界の大物を救済している。 この夏、ロシアのテレビを見ていた人が、この国で最も裕福な有力実業家の1人で、世界最大のアルミニウム企業UCルサール会長のオレグ・デリパスカ氏の命運が尽きたと思ったとしても仕方なかったろう。 サンクトペテルブルク郊外のセメントを生産する小さな街ピカリョボでは、3つの工場――デリパスカ氏がその1つを所有する――の閉鎖によって、労働者の給与が支払われなくなっていた。彼らはこれに抗議して道路を封鎖し、ウラジーミル・プーチン首相に助けを求めた。 プーチン首相は6月4日、悔い改めたデリパスカ氏を後ろに従え、スポーツジャケットを着てスパーヒーローのように登場した。 「ここでの状況をつくり出した張本人たちに、自分の目で見てもらいたい」。プーチン首相は国営テレビを通してロシア全土に放映さ