Mr.Childrenの口笛を聴きながら歩く。空には三日月が輝いている。三日月の横には、口元のほくろのように小さな星が明滅をしている。家のない生活をしていた頃、生きる気力をなくした時は「好きな歌を歌う、好きな道を歩く、好きな人を想う」ことが効果的だということを実感した。いまでも、その習慣は私の中に生きている。自分のこころが「いいな」と思う瞬間の中には、自分をチューニングできている時のような嬉しさがある。幸せと呼ばれるものは自分の中心に常にあって、忙しない日々の中で気付けば自分の中心から遠く離れてしまうこともあるけれど、そこに戻ることができる限り、ひとはいつでも幸せになれるのだということを思う。私は、そこ【自分の中心】を「居場所」と呼びたいと思う。 熱海の家に年賀状が届く。手書きの文字には人柄が宿り、まだお会いしたことのない人でさえも、文字の先にあるその人自身の息遣いを感じることができる。最