「三善晃作品展」2008年10月18、19日@東京オペラシティコンサートホール控え室にて(撮影/林喜代種) 作曲家の三善晃氏が亡くなった。氏についての作品論や作家論は2冊の本にしているので、ここでは思いつくままに、個人的なことごとを書かせていただく。 氏をはじめてお見かけしたのは、桐朋音大の学生ホール前の廊下で、周囲をピシリと遮断する透明なガラスに全体を囲まれているような、近寄りがたさがあった。その近寄りがたい方が、アナリーゼのクラスに現れたとき、それが三善晃という作曲家だと知った。大学2年生のときのことで、その場にいた作曲と音楽学専攻の受講生は6名ほど。「僕はそのとき、自分が感動をもって語れる言葉しか、皆さんには語れません。」と氏は言い、私はその言葉と居ずまいの美しさに劇しく打たれ、極度に緊張した。繊細に選び抜かれた言葉で、たとえばショパンの音楽がどうできているかを分析してみせる。音楽