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2014年8月8日のブックマーク (1件)

  • 生と死と創造と――作曲家・三善晃論/丘山万里子 -1

    70年代も終ろうとしている秋に、私は三善晃の新作《混声合唱と管弦楽のための詩篇》を聴いた。感動という言葉すら許さぬ気に、音はいきなり素手で心をわしづかみにし、水底へとひきずりこむ。横たわる無数の死者の呪文の上を、波はゆれあって空と抱き合い、また次々とおそいかかる音の重圧に、ほとんど私は耐えかねた。それは、テキストに用いられた宗左近の詩への感傷などでは、無論ない。戦争という大量殺りくによって積みあげられた、るいるいたる死への鎮魂をうたうこの詩が、戦争を知らない私の世代にとって、どう言ったところで他人事の感傷しか抱きえないのは、たしかなことだろう。目の前で、殺し殺される死が日常であり、それらとひきかえに今の自身の生があるという意識の許されなさは、私たちが出会う個別的な死――たとえば肉親とか友人とか――からは、決して推しはかることのできないものだ。言葉がどう胸に迫ろうと、生き残り、現に生き続ける

    dombly
    dombly 2014/08/08
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