記者の眼 実は“いい加減”なところがある日本の流通システム 新聞の折り込みなどで毎日届くスーパーのチラシ。少しでも顧客の目を引きつけようと選りすぐりの特売商品が並び、価格の安さを競っている。一見、ち密な仕組みに見えるが、それを支える卸業者のシステムを皆さんはご存知だろうか。 特売のときには、いつもより卸値を下げないと小売り業者の利益が出ない。このため卸業者は、小売り業者とメーカーの間に立って単品ごとに価格を交渉する。そのとき自社(卸業者)の利益は確保できるのか――。実は、それを正確に判断できるだけの情報を、食品卸業者最大手の国分の営業担当者は持っていなかった。同社が2006年9月に基幹システムを刷新し、2007年に本格稼働させる前の話である。 「リベート」が本当の利益を見えなくしていた その背景には複雑な商慣行があった。一定の売り上げや販売数量を達成した流通業者に対して、メーカーが回収代金