前回、懲戒処分を受けた自治体職員の氏名をホームページで公表するケースの、ネット上への個人情報流出の危険性について書いた。書いている間に「大阪市が職員の懲戒処分を市のホームページで公開する方針を明らかにした」(7月26日)というニュースが流れてきた。また読者の方から「犯罪者の氏名をネットで公開するのは当たり前ではないか」とのメールもいただいた。 いろいろな意見があって当然だが、情報公開の際、公表する側も報道する側も、ネットという手段の是非に関して、もっと議論を深める必要はあるように思う。その問題提起だと受け取っていただければ幸いである。 そこで今回は、匿名者によるネットへの情報流出に関して考えてみたい。なかでも企業および企業内の特定個人への誹謗中傷についてである。ここには内部告発の類も含まれるが、今回は、明らかに名誉毀損(きそん)や業務妨害にあたる事例についての考察としたい。 犯人追