前回(第5回)は、現在多くの企業が取り組んでいる3D設計改革の効果について整理した。これを受けて、今回は特にモデリングコスト増の問題を中心に、3D設計導入に伴う課題について考察していく。 多品種化が引き起こす3Dモデリングコストの増加 3D設計は、自動車メーカー、大手電機メーカーを中心に1990年代から導入・推進され、ものづくり改革の主軸として活用されてきた。さらに2000年代に入ると、3D-CADやワークステーションの低価格化と性能向上により、その導入範囲は中堅・中小企業へ急速に拡大していった。中堅・中小企業は、取引先からのニーズに合わせて開発・生産することが多いため、多品種少量生産となる傾向が強い。このことが3D設計の運用に大きな影響を与えるのである。 3D設計プロセスにおいて3Dモデルを作成するために必要なコストを、ここでは3Dモデリングコストと呼ぶことにする。3D設計導入の裾野が拡
3D設計の普及はどこまで進んだのか 前回まで、自動車や電機・電子機器業界の国際競争力と、ものづくりプロセス改革強化の方向性について考察してきた。今回は、ものづくりプロセス改革のテーマとして、多くの企業が取り組んでいる3D設計改革にフォーカスし、その功罪(効果と課題)について整理し、提言したい。 まず、日本・中国・韓国における3D-CADの普及状況の現状について確認しよう。ある学術論文に、3D-CADの普及状況を表す調査結果が示されている(図1)。これを見ると、日本の製造業では1990年代以降に3D-CADが急速に普及し、2004年時点ですでに7割以上の企業で3D-CADが導入されていたことが分かる(ちなみに調査対象は、東証一部上場企業および主要公開企業とされている)。また、中国と韓国における普及率を見ると、2000年前後では日本に対し5年ほど遅れていたが、いまや急速に追いつきつつある。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く