麻生太郎首相は6月10日、2020年における温室効果ガス削減の中期目標を発表。「2005年比で2020年まで15%削減する」という、今後の交渉のベースラインを示した。この政府発表に対して、“環境派”からは、「きわめて後ろ向き」との批判がなされている。その論拠の一つが、欧州連合(EU) が2007年にまとめた中期目標で、「2020年までに、EU27カ国で90年比20%削減する。他国も相応の削減をするなら30%削減する」という内容だ。 日本ではEUの目標を「野心的」と誉めそやす一方、「EUは実現可能性が低くても野心的な目標をぶち上げ、すぐ放棄する」との冷ややかな見方も根強い。日本政府はEUの中期目標に見劣りしない数字で、現実的なコスト負担の、実現可能な目標を選ぼうと腐心したが、そんななか、EUの目標は、実は野心的でも、実現可能性が低いわけでもなく、極めて達成が容易であることを示す分析を日本エネ