「総夢」の力 パリにて 26歳未満の若者を2年間理由なしで解雇できる初採用雇用契約(CPE)法案を撤回させた運動について、日本の主要メディアで「フランスはグローバリゼーションに適応できない遅れた国だ。いまだにデモやストで政府に対抗して非民主主義的だ」という論調が強かったという。彼らが参照する英米のメディアが事あるごとにフランスをけなし、物事をデフォルメして嘲笑したがる(逆も真かもしれないが)という事情もあるのだろうが、ちょっと反論しておきたい。 まず、これまでも書いてきたように、現代の資本主義が要求する形での「雇用の流動化」を社会の前提条件にすることは、ネオリベラル思考にもとづいた見解だと思う。働く者(人間)の使い捨てに反対した大規模な社会運動の中に「既得権利にしがみつく」古い体質しか見ないのは、ここ十年ほどで地球の各地に別の世界観に支えられた市民運動(オルタナティブ運動)が広ま