<地下鉄の車内にはレンジャース・ファンしかいない。グラスゴー市の中心部に向かって走る車内では、列車が刻む金属的な振動音をかき消すほどの声量で、ファンたちはいつもと変わらずに心から楽しそうに古いサポーターズ・ソングを歌い続けていた。それはライバルに憎しみをぶつける歌詞なのかもしれないが、ファンたちはそんなことは感じていなくて、歌詞に関係なく勝利に盛り上がって歌っていた。たぶんグラスゴーの別の場所では、緑と白に身を包んだセルティック・ファンの男性や女性たちが、同じように声を張り上げサポーターズ・ソングを歌っているだろう> 『英国のダービーマッチ』(ダグラス・ビーティ:著 実川元子:訳/白水社)より。 4月30日、味の素スタジアム。FC東京とコンサドーレ札幌の一戦はスコアレスドローに終わった。FC東京側のスタンドからは盛大なブーイングが発せられ、そして、やがて聞こえてくるそれは、東京ダービー