大女優・鈴鹿ひろ美は、いつも1人で行動している。1人で寿司屋に行き、1人で杯を傾け、1人でタクシーに乗って帰る。最近ようやく、「あまちゃん」という付き人ができたが、四六時中、一緒にいるわけではない。大女優なのに、取り巻きの業界人もいない。孤高でミステリアス。ゆえに大女優と呼ばれる。 現実の女優も、1人で動く。取材場所には1人で車を運転してきた。そしていまだに、華やかな芸能界に「なじめない…というか、なじまないんですね」とつぶやく。 「年を重ねるごとに、人見知りが強くて幼稚園にもろくに行けなかった本来の自分の姿が見えてきました。鈴鹿ひろ美さんもそうですね。普段着は黒い服ばかりで、役の設定によって華やかな衣装をまとう。そうやってモチベーションを上げていく。どこか自分と似ていると思います」 自分本来の姿。それは「都会の田舎育ち」だという。 「育った場所は東京のど真ん中で、通学路ではみんながおしゃ