マツダのSKYACTIV-Xの発表は、世界の自動車メーカーを驚かせたに違いない。エンジン技術者たちの永年の夢であった、ガソリンエンジンでの予混合圧縮着火(HCCI)を、実用化の水準へ持ち込んだからである。なおかつその技術を、量産市販する1~2年前の段階で、我々メディアに公開し、試作車の試乗までさせた。 ◆「HCCI」とはどのような技術であるのか ガソリンエンジンは、ガソリンと空気の混合気をピストンで圧縮し、そこでスパークプラグの火花によって着火して(火花着火という)素早く燃え広がらせ、その燃焼圧力でピストンを押し下げて力にする。 ディーゼルエンジンは、空気のみをエンジン内に吸い込み、ピストンで圧縮したところへ軽油を噴射して、高圧高温となった空気の中で自然に軽油が燃え始める(圧縮着火という)のを利用し、その燃焼圧力でピストンを押し下げる。これを実現するため、ディーゼルエンジンの圧縮比はガソリ