◇「必ず福島に帰る」 ピッチはヘリポートになり、緊急車両が行き来する。東京電力福島第1原発の南約20キロにあるサッカーのトレーニング拠点「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)は現在、原発事故に対処する政府や東電、自衛隊の前線基地となっている。 3月11日の震災後、一時は避難所となったが、原発の1号機が水素爆発を起こした12日、避難指示が出た。日本代表のシェフとして2006、10年のワールドカップ(W杯)に帯同したJヴィレッジ総料理長の西芳照さん(49)も、急いで他の避難所に移った。炊きだし用に冷蔵庫から食材を集めガスボンベや大鍋を抱えるのが精いっぱいだった。それ以降、選手の姿をここで見ることはない。 Jヴィレッジは東電が地域貢献の一環として整備して福島県に寄贈し、97年にオープン。県と、強化育成施設を求めていた日本サッカー協会などが出資した会社が運営し、日本代表の強化合宿や、クラブユース