とことんインタビュー 憲法学の長老が危惧することは 東北大・東大名誉教授 樋口陽一さんに聞く 戦後、日本が築いてきた価値が損なわれようとしているのではないか。仙台出身の東北大・東大名誉教授、樋口陽一さん(79)はそう危惧する。敗戦から69年の夏、憲法学の長老に聞いた。 ――閣議決定による憲法9条の解釈変更を、どうとらえますか。 「安倍首相の憲法へのニヒリズム(虚無主義)を感じます。去年は(国会議員の3分の2を改憲発議の要件とした)憲法96条を変えようとした。小林節・慶応大名誉教授は『裏口入学』と評しました。今度は裏口どころか、表玄関から土足で9条に入ってきた。憲法をあって無きがごとくに扱うだけでなく、その変わりようもニヒリズムという語がぴったりです」 「歴史に責任を負う決断をするにしては、安倍首相は実に明るく、ほがらかです。『様々な批判や論点を考え抜いた末、これしかないという結論に達した』