1990年代の「女の子写真」ブームの背後には女性蔑視が隠れていた——『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』(大福書林)を上梓した写真家の長島有里枝氏はそう指摘する。当時、自身に向けられていた評価に対する、当事者からの異議申し立て。 女性写真家たちが抱いていた違和感 西洋美術にダダイズムやミニマリズムのような芸術運動があるように、写真の分野にもその時代ごとの潮流やムーブメントがある。その観点から日本の写真史を紐解くと、1990年代は若手女性写真家が活躍した「女の子写真」または「ガーリーフォト」の時代とされているのがわかる。 1993年、家族と自分を被写体にしたセルフ・ポートレイトが注目されて世に出たわたしは、90年代の写真潮流を牽引するフロントランナーの一人と評された。 まだ名前すらなかった新しい写真表現はあらゆる人に論じられ、最終的に「女の子写真」と呼ばれ始める。自