「逆境はあまり感じたことがないんです。血縁って何なんでしょうか」。当代随一の女形として舞台に立ち続ける、歌舞伎俳優・坂東玉三郎(71)。世襲で伝統を継ぐことの多い歌舞伎界で、梨園の出身ではない。幼少期に舞踊の世界へ導かれ、一日一日稽古を積み重ねて、今日に至る。時には心身の不調に悩まされながらも、舞台の美を追い求めてきた。芸に邁進する人生を語る。(文中敬称略/取材・文:塚原沙耶/撮影:下村一喜/Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair編集部) 「自宅に蛍光灯はほとんどありません。日の光か、ろうそくの光か、ランプの光で生きていきたい。『一生暮らしていけるだけの電球を買ってきて』と言って、100ワット、80ワット、60ワットの電球を200個ずつ集めたんです。省エネのことも聞くけれど、消せばいい。衣装の色の打ち合わせは、蛍光灯やLEDではできません。色彩が分からないんです」 坂東玉三郎