「ミュージックビデオの身体論」番外編連載「ミュージックビデオの身体論」の番外編として、えむさんに「リリックビデオ」をテーマとする論考を寄稿していただきました。えむさんは大学で視覚メディア表現を学び、実写とアニメーションを組み合わせた映像作品制作も行ってきた方です。 本稿では「リリックビデオ」という語のうちに含まれる多種多様なありようを詳しく分析して腑分けし、①実写映像の中に歌詞の文字を造形したオブジェ等が含まれる〈実写/単一レイヤー〉、②実写映像と歌詞テロップなどを合成した〈テロップ/二重レイヤー〉、③歌詞も含めてすべての映像がアニメーションもしくはCGで制作されている〈アニメーション/多重レイヤー〉に3分類した上で、それぞれの「前史」にあたる映像表現を考察しています。 さらにえむさんは、歌詞自体を「見る」ためのものとして表示させる作品を「映像先行型」、歌詞を「読む」ための記号として表示さ