改正内容を示すべきだ 安倍晋三首相は夏の参院選で憲法改正を争点とする考えをたびたび表明している。しかし、何を変えようとしているかははっきりしない。何を変えるかではなく、憲法を変えること自体を目標にしているようにも見える。民主主義の基盤を不安定にしかねない危険な状況だと思う。 私は憲法を一字一句たりとも変えるべきではない、とは思わない。必要があれば時代の変化に合わせて憲法を変えていくのは当然のことだ。しかし、憲法には手続きを定めた規定と、国民主権や基本的人権といった基本原理を定めた規定の2種類がある。手続きを変えることと、基本原理を変えることは明確に区別して論じられるべきだ。しかし、首相の改憲論はその区別が必ずしも明確ではない。 立憲主義の説明として「憲法は権力者を縛るもの」という説明がよくされる。そもそも誰にも侵すことのできない基本的人権を基礎として築いた社会があり、その基本原理を尊重する