「ウクライナ戦争の転換点になる」と言われてきた5月9日──ロシアにとって重要な対独戦勝記念日を迎え、プーチン大統領の暴走はどこへ向かうのか。新たなステージに突入した戦争の展開について、筑波学院大学教授の中村逸郎氏に話を聞いた。 * * * ウクライナ侵攻に対する経済制裁で、ロシア・プーチン政権が窮地に陥るのは明白だ。そうしたなかで私は「北方領土を取り戻す最大の好機」が訪れると考えている。 北方領土返還については、過去にもチャンスはあった。1991年のソ連崩壊直後には、ルーブル紙幣が紙くず同然となり、ロシア・エリツィン政権は日本の経済支援を歓迎して「二島返還」に前向きな姿勢を見せていた。1994年の北海道東方沖地震では北方四島も大きな被害を受けたが、この時の日本からの人道支援も有効だったはずだ。 橋本龍太郎首相とエリツィン大統領によるクラスノヤルスク会談(1997年)では“2000年までに領