製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、製造現場への無線通信技術の導入も急速に進んでいます。製造現場という特殊な環境下では、導入する現場環境に応じた適切な無線設備選定や配置をしなければ、全体の稼働に支障を来すリスクがあります。 本連載では、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している「製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン」の内容を基に製造現場への無線技術の導入について紹介します。今回は、本ガイドライン作成の背景と概要について説明します。 はじめに 2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、日本の製造事業者の多くがサプライチェーン寸断のリスクにさらされました。それに加えて近年、地政学的リスクの増大や、日本国内における自然災害の頻発等により、サプライチェーンを取り巻く「不確実性」は今後もさらに高まると想定され