萩生田氏が「言質」を与えた? 政府は東京電力福島第一原発処理水の海洋放出にむけ、漁業者支援の新基金を追加で設ける。 その背景には、経産省が漁業団体の圧力に「完敗」した経緯があった。 事故で溶けた核燃料の塊「燃料デブリ」を冷やした水から、放射性物質の大部分を取り除いたものが処理水だ。昨年4月に菅義偉政権が'23年春以降の海洋放出を決めたが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)が猛反対し、風評被害対策の手厚い支援を求めていた。 政府と全漁連に食い違いが生じたのは、今年4月だ。当時の萩生田光一経産相と全漁連の岸宏会長が会談した際、萩生田氏が「超大型の基金を創設する」と発言。経産省側は昨年末に設立を決めた既存の300億円の基金を指しているとの認識だったが、岸氏は「新しい基金だと思っている」とメディアに強調した。 そこから、萩生田氏が言質を与えたとして「新基金創設へ」との報道が続出し、全漁連が既成事実を