農業協同組合(JA)は、元来、営利目的ではなく、「経済的に弱い立場にある組合員の生産や生活の向上のため」に設立されたものだ。しかし、そんなJAが、今や共済(保険)事業と信用(銀行)事業に依存し、職員に過大なノルマを課しているという。そして、その結果、現在、多くのJAで「不正販売」と「自爆営業」が蔓延っている。 JAで、一体なにが起こっているのか。なぜそのような事態になってしまったのか。元「日本農業新聞記者」窪田新之助氏の新刊ルポタージュ『農協の闇』から、3回に分けてご紹介します。 客に損させるのが当たり前 JA職員から話を聞かせてもらおうとしていたのは、後ほど詳述する「JA共済」の過大な販売ノルマと職員の自爆営業の実態についてだった。ところが、取材は途中から思わぬ方向へと進んでいった。待ち受けていたのは、JAグループを包む、当初想定していたよりもずっと深い闇である……。