![「言うことを聞け」と文在寅を叱ったトランプ:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/514a178ad2a6efa3012cca996d4a15947e6c7911/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkei.com%2Fatcl%2Freport%2F15%2F226331%2F101500200%2Ffb.jpg)
(前回から読む) 米メディアが文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と報じた。訪米中に北朝鮮の核武装を擁護する詭弁を繰り返したため「北の使い走り」と見切られたのだ。 金正恩を称賛する報道官 鈴置:9月下旬に文在寅大統領がニューヨークを訪問、トランプ(Donald Trump)大統領と会談したほか、国連総会で演説しました。さらにテレビの取材や、外交専門家の会合で質問に答えました。 今回の訪米は9月18―20日に開いた平壌での南北首脳会談の結果を踏まえ、米国と北朝鮮の間を取り持つのが狙いでした。でも、完全な裏目に出ました。米国での質疑応答のたびに「文在寅は金正恩の代弁人だ」との印象を深めてしまったのです。 ブルームバーグ(Bloomberg)は「文在寅は金正恩の首席報道官」との見出しで報じました。「South Korean’s Moon Becomes Ki
ピョンヤンで9月18~19日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が南北朝鮮首脳会談を行いました。 高濱:北朝鮮の「非核化」に向けた大きな前進はありませんでした。「非核化」は当分足踏み状態が続きそうです。 金委員長は文大統領だけでなく、中国とロシアの首脳を味方につけて、自信を持ち始めているのでしょうね。高飛車な態度を取っています。 それにドナルド・トランプ大統領は、11月に実施される米中間選挙という閂(かんぬき)を掛けられていて、身動きできずにいます。米メディアも米議会も超党派で、「非核化」を棚上げにして「朝鮮戦争終結宣言」を出すことに反対です。トランプ大統領としては、北朝鮮の提案(寧辺の核施設、東倉里のミサイル発射台などの廃棄)を受け入れて「終戦宣言」を締結するわけにはいかない状況にあります。 ちょっとショッキングな話をします。 今、トランプ政権の対北朝
非核化をめぐる米朝交渉の潮目が変わった。明らかに、北朝鮮は「遅延作戦」を取っている。その背景にあるのは習近平国家主席の発言だ。平壌とワシントン、それぞれの中枢事情を知る複数の関係者が、習近平国家主席が「完全非核化は10年前後のちでいい」と、北朝鮮の金正恩委員長に述べたと明らかにした。 また、中国は今後10年間にわたって総額10兆円もの支援をすると北朝鮮に約束した。 北朝鮮の非核化について、習国家主席は「中朝首脳は何度も非核化で合意した。非核化は必ず実行してほしい」と求め、「10年前後の時間をかけてもいい」と伝えた。その理由として、非核化を短期間で実行しようとすれば、北朝鮮の軍部が反発し金委員長の指導力が不安定になることを指摘した。それゆえ、経済開発が成功し国内が安定した後でいいとしたわけだ。この中国の意向が、米朝の核交渉遅延につながっているようだ。 習国家主席は9月9日の北朝鮮建国記念日に
6月12日、史上初の米朝首脳会談が開催されました。注目されたのは、どんな点ですか。 宮本:第1に、北朝鮮が「完全な非核化」を米朝首脳会談で受け入れたことです。4月27日に行われた南北首脳会談の「板門店宣言」に記されている通りの内容です。これは北朝鮮が譲歩したことを意味します。 宮本悟(みやもと・さとる) 聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。(撮影:加藤 康) もちろん「完全な」が意味する
今回の米朝首脳会談で最も注目したのはどんな点でしょう。 宮家:一つは、交渉の進め方。「ディール・メーカー」「交渉の達人」を自賛するドナルド・トランプ米大統領の外交交渉が自滅したことです。それも北朝鮮のような小国にすら通用しなかった。セオリーを軽視し、無手勝流を通したつけが回ったのです。将来、外交の教科書に失敗事例として載るのではないでしょうか。 宮家邦彦(みやけ・くにひこ)キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1978年外務省入省後、外相秘書官、中東第一課長、日米安保条約課長、在中国/イラク大使館公使、中東アフリカ局参事官等を経て、2005年に退職。その後、2006~7年、安倍晋三内閣で総理公邸連絡調整官。現在、外交政策研究所代表、立命館大学客員教授も務める。近著に『語られざる中国の結末』(撮影:陶山 勉 以下、同) セオリーに則っていないとは、どんな行動を指しますか。 宮家:例えば、切り
米朝首脳会談が行われた。共同声明には完全な非核化の進め方や期限についての言及がなく、失望を買っている。だが、重村智計・早稲田大学名誉教授は「非核化の主体を北朝鮮に限定したことの意義は大きい」と指摘する。その意味するところは…… ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長は12日、シンガポールでの会談後、共同声明に署名した。共同声明には、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)への合意はなく、多くの失望と批判が聞かれる。 トランプ氏は、金正恩委員長が直面する北朝鮮軍部からの圧力に理解を示し、同委員長を追い詰めなかった。同委員長に「北朝鮮の完全な非核化」を約束させたのは、成果だ。二人はともに、国内での懸案を解消するため、「歴史的」会談を「ライブ中継」する演出を必要としたのだった。 首脳会談の真実は、冒頭40分間の二人だけの会談に隠されている。二人だけで何を話したのか。他の閣僚や
米大統領のドナルド・トランプが米朝首脳会談を中止する意向を明らかにしてから1週間がたちました。両国は、6月12日の開催を目指し、再調整の協議を継続しています。首脳会談が開かれる見込みとその条件をどう考えますか。 会談開催の条件ですが、少なくとも北朝鮮は、トランプが「米国はこれだけの譲歩を獲得した」とアピールできる内容を提示する必要があるでしょう。例えば「2020年までに核兵器をすべて廃棄する」とか。 核施設の即時全面解体は含めなくてもすむかもしれません。これは「平和利用に限る」と説明することができるので、米側も妥協する余地があると思います。「CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化=Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)」から「不可逆的な(Irreversible)」を除いた「CVD」になるかもしれませんが、「核兵器」の
核を使わないよう神に祈る 鈴置:ホワイトハウスは米東部時間5月24日午前10時前(日本時間同日午後11時前)、ツイッターで書簡を発表しました。 中止の理由についてトランプ大統領は「残念なことであるが、激しい怒りとあからさまな敵意を表明したあなた方の直近の声明により、長期間、計画されたこの会談を現時点で開くのは適切ではないと感じている」と書きました。 ・Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting. さらに「あなたは自身の核戦力に関し語るが、我々のそれはとてつもなく巨大で強力だ。私はそれが使われな
(前回から読む) 5月26日午後、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が板門店の北側施設で突然、会談した。トランプ(Donald Trump)大統領が軍事的な圧迫を強めるのに対抗、南北はスクラムを組んで見せたのだ。 仲介を誇った文在寅 鈴置:文在寅大統領は5月27日午前10時から青瓦台(韓国大統領府)で会見し、前日の南北首脳会談に関し説明しました。 「2次南北首脳会談 結果発表文」(5月27日、韓国語)から、大統領の発言のうち、米朝首脳会談に関連する部分を引用します。 ・私は先週の韓米首脳会談の結果を説明した。金委員長が完全な非核化を決断し実現した場合、トランプ大統領には北朝鮮との敵対関係の終息と、経済協力に対する確かな意思があるとの点を伝えた。 ・金正恩委員長は板門店宣言に続き再度、朝鮮半島の完全な非核化の意思を明らかにされた。 ・(さらに)朝米首脳会談の成功
北朝鮮との交渉には、秘訣がある。最悪の場合には「決裂」を辞さない――と覚悟できないと交渉は成功しない。これを知るドナルド・トランプ米大統領の「交渉術」が、米朝首脳会談を再び実現に向かわせた。同氏は、交渉術に精通した元ビジネスマンだ。 米朝首脳会談が実現し、一定の合意に達する可能性が高い。 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月26日、板門店で再び会談。米朝首脳会談の再開とトランプ大統領にどう対応するかを、相談した。 父親や祖父の時代と違い、北朝鮮の若い指導者には、国際社会に友人がいない。それに近い存在は中国の習近平国家主席と文大統領だけだ。金委員長は「二人ともトランプ氏と通じており、信頼していいのか不安だが、助けが欲しい」という心境だろう。韓国の指導者も、首脳会談が中止になると国民の信頼と権威を失う。南北の指導者は、助け合わざるをえない状況にあ
核放棄を強要するな 5月16日、北朝鮮が米朝首脳会談を開かない、と言い出しました。 鈴置:北朝鮮は「米国が一方的に核放棄を強要するなら、首脳会談は再検討するしかない」との金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官名義の談話を発表しました。 北朝鮮の対外宣伝サイト「わが民族同士」の「朝鮮外務省第1次官が談話を発表 」(5月17日、日本語版)で全文を読めます。 なお同じ5月16日未明に、北朝鮮は同日に予定されていた南北閣僚級会談もキャンセルしました。5月11日から始まっていた米韓合同の空軍演習「マックス・サンダー(Max Thunder)」が自分に圧迫を加えているとの理由をあげました。 これを通告したのが朝鮮中央通信の「朝鮮中央通信社が朝鮮に反対する大規模の連合空中訓練を行った米国と南朝鮮当局を糾弾」(5月17日、日本語版)という記事です。 記事の最後には「米国も、南朝鮮当局と共に繰り広げている挑発
(前回から読む) 史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれることが決まった。トランプ(Donald Trump)大統領が5月10日、発表した。北朝鮮の核問題が対話で解決するのか、あるいは軍事的な衝突につながるかの分かれ道となる。 リビア方式で押すトランプ 米朝首脳会談はどんな結果を生むでしょうか。 鈴置:大きく分けて3つの展開を予想できます。「米朝首脳会談、3つのシナリオ」をご覧下さい。首脳会談でトランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対し「つべこべ言わずにまず、非核化しろ。見返りはその後だ」と要求するのは確実です。 いわゆる「リビア方式」です。2003年12月19日にカダフィ大佐が非核化を受け入れると、米英の情報機関は直ちにリビアに入り、核関連施設を米国に向け運び出しました。翌2004年3月には全ての作業を終えるという早業でした。 トランプ大統領の要求に金正恩委員
韓国の文在寅大統領との歴史的な対談を実現した金正恩朝鮮労働党委員長。その心中は…(代表撮影/Inter-Korean Summit Press Corps/Lee Jae-Won/アフロ) 金正恩朝鮮労働党委員長が米国との直接対話を狙ったソフト路線に突如切り替えたのは、①中国も加わった強力な経済制裁を含む北朝鮮包囲網により圧迫され、追い込まれてそうせざるを得なくなったためか。それとも、②金委員長がもともと頭で描いていた戦略に沿った動きなのか。完全な二者択一というわけでないだろうが、①はあくまで従であり、②が主だというのが、筆者の見解である。 最近のマスコミ記事のうち、①の見方をとったと受け止められるのが、日本経済新聞が4月16日朝刊に掲載した連載記事「(迫真)激震朝鮮半島」の第1回「米中に殺される」である。 この記事によれば、金正恩委員長は昨年秋には米国との関係改善を決意。「北朝鮮関係筋に
存亡の危機に立つ金正恩体制 鈴置:4月9日、トランプ(Donald Trump)大統領は「5月か6月初めに米朝首脳会談を開く」と語りました。でも、金正恩(キム・ジョンウン)委員長がそれに応じるのか、疑問符が付いています。 米朝首脳会談でトランプ大統領が「直ちに核を放棄するか、しないのか」と厳しく問い詰めるのは確実です。 金正恩委員長がへ理屈をこねて時間稼ぎに出ようものなら、米国は「これだけ手を尽くしても外交的には解決できなかった」と宣言し、軍事攻撃に乗り出す可能性が高い。 米朝首脳会談を開けば、北朝鮮は空爆されるか、核を即時に廃棄するかの2択に直面するわけです。どちらに転んでも金正恩体制は存亡の危機に立ちます。 4月14日未明(現地時間)のシリア空爆で「明日は我が身」と北朝鮮の指導部は肝を冷やしたことでしょう。そんな墓穴を掘る会談に金正恩氏が応じるのか――。米国や日本の朝鮮半島問題の専門家
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く