人口11億人を抱える世界最大の民主主義国インド。極端に富裕層と低所得者に二極化した同国は、日本企業にとってあまり魅力的な市場ととらえられてこなかった。富裕層を対象にした高級品市場はあまりに小さく、低所得者向け普及品を現地生産するにも文化的な困難が付きまとったからだ。 だが、野村総合研究所(NRI)の技術・産業コンサルティング二部上級コンサルタントの岩垂好彦氏は「ここ数年で潮目が変わった」と言う。 「日本製品のような高級品に十分に手に届くミドルリッチ層が急速に拡大している。関税も一貫して引き下げられてきており、インドに輸入して販売することも可能になった」 インド国立応用経済研究所のデータを基にNRIが予測したところ、富裕層予備軍となるミドルリッチ層(年収20万-50万ルピー)が急速に拡大しており、購買力が格段に高まってきているというのだ。名目為替レートで60万-150万円、購買力平均レートで