カナダ南東部の大西洋沿岸に広がる比較的浅い海ジョージバンクはかつて水産資源の宝庫だった。17世紀には,タラやサケ,シマスズキ,チョウザメの大群が漁船を取り囲んだが,今ではほとんど姿を見かけない。 こうした商業的に価値の高い魚の漁獲量は減り続け,多くが子孫を残す前に水揚げされるため,小型化している。こうした現象は北大西洋だけでなく世界中で起きている。 その主な原因は人間の手による乱獲だ。例えば,カナダ政府は補助金を出し,国内漁船の大型化と装備の近代化を進めた結果,大西洋側では漁獲高が激減した。 また私たちは1つの統計モデルを考案し,水深や緯度の似通った世界各地の漁場の中から漁獲高が著しく違う水域を調べられるようになった。これによって,中国は40%近くも多めに漁獲高を報告している可能性が高いとわかった。1980年代末に世界の漁獲高は減少し始めたが,虚偽の報告をしている国の存在を考えると,かつて
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