中国人作家、揚逸(ヤン・イー)氏が、日本語で執筆した作品「時が滲む朝」で芥川賞を受賞した。 芥川賞は、時代の新しい才能の登竜門として、過去、石原慎太郎のデビュー作「太陽の季節」や村上龍の「限りなく透明に近いブルー」など、センセーショナルな話題作を提供してきた。しかし、活字離れが進んでめっきり小説が売れなくなり、かつての威光は色あせ、受賞作品が話題にも上らなくなってしまった。そうした中、今回の揚逸氏の受賞は、北京オリンピックの開幕のタイミングにちょうど重なったこともあり、文藝春秋にして見れば、またとない話題づくりとマーケティング機会を得たことになった。 「国際化」されなかった日本語 文藝春秋の商売上の思惑は、ひとまず置くとして、中国人作家が、日本語で書いた小説作品が、日本の文学賞を取ったことは、この国の在りようを深いところで変えていく契機になるだろう。英語やフランス語などは、植民地主義の時代
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