去る3月20日、赤坂のTBS本社を中心とした再開発地区「akasaka Sacas」がオープンした。ほぼ一年前にオープンした六本木の東京ミッドタウンに続き、これで東京都心の再開発は一段落ついたという印象がある。 それにしても、東京における再開発とはいったいなんだったのだろうか? 本書ではまさにそんな疑問に答えるべく、建築家の隈研吾とジャーナリストの清野由美が、汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田といった東京の街を実際に歩いてまわりながら、都市計画について考察する。 本書の各章は、隈による基調レポートと現地での清野との対話によって構成されている。両者の対話は、しばしば独善的に持論を展開する隈に対して、清野がうまいぐあいに反論や疑問をぶつけたりしており、なかなかスリリングである。 たとえば隈は、六本木ヒルズを、真の意味での「都市計画」が実現した稀有な例だと評価する。 六本木ヒルズの開発では