※本文中の 番号 は上のリスト番号に対応 まちなみ・景観・風景に関する本を,主に1970年代以降のものについて,以下の3種類に分けて整理したい。ひとつは景観・風景の意味や力について構想する社会学的分野からのもので,もうひとつは歴史的まちなみや関連するまちづくりをテーマとした著作である。そして最後に,都市風景の現状と課題についてである。 ●景観や風景の意味と力 景観・風景に対する社会学的考察が現在につながる形で始まったのは,欧米の諸研究が日本に紹介された1970年代後半からだったといえよう。レルフ『場所の現象学』 1 ,トゥアン『空間の経験』 2 ,シュルツ『ゲニウス・ロキ』 3 は現象学的地理学などと呼ぼれる分野の仕事であるが,人間の営みによって,単なる物理的空間が特別な場所になることを論じた。こうした考え方は,今では全く新しさを感じられないほど定着したといえよう。その過程には多くの著作が