「リスクに背を向ける日本人」で紹介されていた。いや、山岸氏の主張の多くは本書によると言っても過言ではない。しかし建築・都市計画関係者には「ジェイン・ジェイコブズ」という名前の方が目に止まる。名著「大都市の死と生」の執筆者として。 「大都市の死と生」を読んだ時には、夫が建築家という以上の情報はなかったが、こうした著作を執筆する者とは思わなかった。それ以上にまだ生きていたのかという驚きの方が大きい。Wikiを見ると、2006年に亡くなっているが、この本を執筆したのは1992年。なんと76歳。そして90歳で永眠している。その旺盛な活動力と知性に感服する。 本書での主張は、山岸氏が紹介していたように、「人間社会の行動原理として、取引と占取があり、これに呼応して二つの倫理体系、市場の倫理と統治の倫理がある。この二つを混用することで混乱が生まれ、時に不正や停滞、システム的腐敗が発生する」というもの。