国税庁にお酒の研究や鑑定をする部門があることはあまり知られていません。しかも、酒造りは「女人禁制」だったとされる時代もあることから、女性が働くことがイメージしづらい分野でもあります。そんな業界で、女性初の酒類総合研究所のトップをつとめた研究者がいます。 118年の歴史があり、日本で唯一の国のお酒の研究機関である独立行政法人酒類総合研究所。前身である国税庁醸造試験所の時代から働いていた後藤奈美さんは2016年、ここで女性初の理事長に就任しました。 後藤奈美(ごとう・なみ) / 独立行政法人 酒類総合研究所 前理事長。京都大学大学院農学研究科食品工学専攻修士課程修了。1983年、国税庁に入庁し、醸造試験所(のちの酒類総合研究所)に配属。大阪国税局鑑定官室を経て醸造試験所に戻り、ワインの研究を積む。1991年から1年間、フランスのボルドー大学に政府給費留学生及び科学技術庁パートギャランティーとし