「取り舵30度、戻せ、戻せ」-。東日本大震災の津波が岩手県釜石湾に押し寄せる中、出港し、沖に向かう海上保安庁巡視船「きたかみ」。同船が3月11日午後3時すぎに撮影した映像を4月28日、海上保安庁が公開した。 釜石湾に設置された2本の防波堤は、「世界最大水深の防波堤」としてギネスブックに登録されている。映像には、「きたかみ」が津波により破壊された「世界最大水深の防波堤」の間を抜け、沖に向かう様子が映し出されている。 津波や引き波により流され、難しい操舵が要求される「きたかみ」。2本の防波堤の間、300メートルある開口部を、船内で激しい針路変更指示を出しながら、懸命の操舵で「きたかみ」は抜けていく。【海上保安庁提供】